プロの作家は厳しい!



勤めている会社の社長の娘さんが、プロの漫画家さんとしてデビューするそうで、
いろいろとお話を聞いてみて、意外と厳しい世界なんだなぁと感じました。
まず原稿料ですが、どんなに手間隙かけても新人だと1枚数千円だそうで、これで
は月に数本連載を持っていないと食べていけないと思います。やはり単行本が売れ
ないと厳しいようです。さらにアニメ化や映画化されれば、良いのでしょうが、そ
こまでの道のりはなかなか遠いかもしれません。

興味があったので、小説の世界だとどうなのか?調べてみました。
若桜木虔さんの本によると年に3冊以上出していかないと専業作家で食べていくの
は難しいそうで、かつこの不景気の世の中では、ある程度のセールスがないと書い
ても出版してもらえない事もあるそうです。(恐るべし・・・)

世に出るきっかけとして新人賞というものがありますが、そこでの戦いについても
厳しい世界があるようです。そこには、ある意味独自の世界があり、下読みの人た
ち(応募作を最初に選別する)の興味を勝ち取り、かつ本選の審査員の先生方のお
目にかなう必要があるのです。当然、賞毎のカラーや方向が存在し、それにフィッ
トしないと受賞は難しい。つまり、芸術性や自分の書きたいものより優先すべきも
のが、いくつも存在するのです。もっともデビューした後も自分の書きたいものを
書けるわけでもないようです。ミュージシャンの世界と同じく一握りの一流の方々
とその他の普通の方々でやれることが違っているようです。

とにかく最初は、売れないと話しにならない!(爆)なんか身につまされる話の連
続でした。さらに多作でないと余程のヒットがない限り収入も少ないという厳しさ
です。例えば、500ページの本を書くとして、その1.5倍ほどの量を実際には、
書くことになります。つまり、年間2250ページは、最低書く必要があるという
ことです。休みなしで書いて一日平均6枚ちょっと、週休二日で8.5枚程度、取
材や構想で実際にかけない時間を考えると原稿をかける日は、20枚くらい書くこ
とになるそうです。この量は個人的には恐るべしです。まぁ、1週間くらいは、頑
張れるかもしれませんが、年間通して、いやそれを何年も続けるというのは、とて
も考えられません。新人作家の多くが消えていく理由が分かったような気がします。

これまで考えた事のなかったのですが小説の作法みたいなものが存在するそうです。
確かに日本の小説と海外の小説のスタイルの違いを感じた事はありますが、実際に
読者のニーズにより「小説の作法」がある程度違ってきているのだそうです。
例えば、海外小説では、群集もの(いくつものキャラクターがそれぞれの視点で話
を進めていくもの)は、割とポピュラーですが、国内小説ではあまりない、という
より支持されないというのです。また、読者も国内小説を読む人と海外小説を読む
人は分かれていて、両方読む人は、かなり少数派なのだそうです。ちなみに僕は
両方読みますが、それほど読書量が多いわけでもないので、結局は少数派になって
しまうのかもしれません。

まぁ、小説の世界だけに限った話でもありませんが、世の中の価値観や興味が多様
化しており、ジャンルが細分化されてしまい、大ヒットというものが難しい時代に
なっているのも厳しさの原因かもしれません。実際に2ヶ月ほど久しぶりに大量の
本を読みましたが、なかなか面白いものが多かったように思います正直言って若い
頃読んだ本より圧倒的に面白かったと言えます。逆に言うと「面白さ」を追求した
本が主流になってきているのでしょう。

予断ですが、本の中で紹介されていた文献に「まことに残念ですが・・」という
不朽の名作への不採用通知160選というものがあり、後に世間で名作と呼ばれるよう
になった作品でさえ、不採用と判断された事があるということです。(爆)
あのゴッホが、生きている間にほとんど絵が売れなかったのを思い出しますが、生
計を立てるためには、「売れ」ないといけないという命題があるんですよね。

今回まとめて以下の本を読んでみましたが、厳しい世界を勝ち抜いてこそなんだと
思います。本の中でプロ野球選手を例えていましたが、なかなか鋭いですね。
ドラフトで鳴り物入りで入団したのにいつのまにか引退していたり、トレードに
出されたり・・・・。本当に勉強になりました!

プロ作家になるための四十カ条 (ベスト新書) 若桜木 虔

マンガを読んで小説家になろう! 大内 明日香 若桜木 虔

稼ぐ作家になるための裏技Q&A174 若桜木 虔 筆客商売

2010年1月2日

平川丈二は最近こんなことを考えている!
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