2022年10月の読書メモ

実は毎月数冊本を図書館で借りたり、本屋で買ったりして読んでいます。
自分に合わなかったり、ダメだった本も少なからずありますが、図書館で借り
たものについては、ダメージが少ないので有難いです。独身の頃は、「面白そ
う」で買った本の打率が5割を切っていたので経済的に厳しかったです。(笑)
面白かった本についてはメモを残すようにしており、今月は7冊ありました。


号泣が忘れられない兵庫県議ではありません。(爆)

「The EFFECTOR BOOK Presents 音の正体」布施雄一郎 (著)

“The EFFECTOR BOOK"で連載を続けているコラム「音の正体」を書籍化。
著者は、九州芸工大で音響工学を学んだ方でした。実はこの大學への進学を考
えたこともあったんですが、当時(親には大変申し訳なかった!)あまり勉強
をやらずに中途半端にギターを弾いて遊んでいたため、共通一次試験の点数を
見て国立は滑り止めの地方の大学にしました。(無事に電子工学科に合格しま
したが、学校周辺を調べて4年間ここで暮らすのは、止めて東京の私立の大学
へ進学しました。)もし、点数が良かったら福岡で学生やってたかもしれませ
ん。(笑)

とはいえ、大學の研究室が音響研究室だったため、この本に書かれていること
のほとんどを学校で教わっていました。ただ、スタジオ機材のメーカーへ就職
していろんな機材に触れたり、楽器を弾いたりして得た知識もかなり大きく、
一般的な知識として認識されていないものも実際に応用しています。例えば、
本書のギターのエフェクターの歪みの説明でTS-9,OD-1、RATの信号波形を表示
して説明していたんですが、その信号をそのまま聴いてもギターサウンドとし
てはどうか?と思います。説明自体が76年発売の「楽器の本」と大差ありませ
ん。聴覚をフューチャーするのだったら、真空管のパワー管のドライブとスピ
ーカーとキャビネットの音響特性にも触れるべきですね。ただ、幅広く多岐に
渡って音響知識が掲載されており、類書が異常なお値段な本が多いことを考え
るとかなりお薦めです。


最近は、ネタが重複している印象ですが、つい読んでしまいます。

「バカと無知―人間、この不都合な生きもの」橘玲

「正義のウラに潜む快感、善意の名を借りた他人へのマウンティング、差別、
偏見、記憶……人間というのは、ものすごくやっかいな存在だ。しかし、希望
がないわけではない。一人でも多くの人が人間の本性、すなわち自分の内なる
「バカと無知」に気づき、多少なりとも言動に注意を払うようになれば、もう
少し生きやすい世の中になるはずだ。科学的知見から、「きれいごと社会」の
残酷すぎる真実を解き明かす最新作。」

毎度多様な論文をエビデンスに社会現象などへの評論を展開します。
印象に残った内容としては、
「バカは自分がバカである事を知らない」
「自尊心を巡る人の行動心理」
「差別と偏見の中身」
「すべての記憶は偽ものである」
などでした。
著者自身がリベラルな考えを持っているのでポリコレの異常な世の中の流れに
リベラル原理主義への批判などは、うなずけるものでしたが、差別と区別、ス
テレオタイプと偏見を混ぜこぜに論ずるのは、どうかと思います。物事を認識
できれば「区別」はつきます。それに対して「不当に扱いを変えた場合」のみ
「差別」と呼ばれるものになるのに「区別」した時点でアウト扱いは「不当」
だと思います。
あと、「自尊心」を守るために必死になる人の話は納得がいきましたが、する
と自分の自尊心って、どうも低めって事になるようです。確かに高くは無いで
すが、それほど低いとも思いません。ただ、マウントをとって相手を上から目
線で見たいという欲求はないので客観的にはそうなのかもしれません。そもそ
もマウントを取ろうとする様な人物とは距離を置くように心がけているので
「縁がありません」(笑)
バカの話も以前から同様の話をいろんなところで見るので新鮮味はありません
が、「謙遜は大事だが、バカに謙遜しても、なめられるだけだ」って話を思い
出しました。あと、IQが、20以上離れると相手の言っていることが理解できな
い説もあり、世の中のバカな人の取り扱いには注意が必要です。


結構こういう「ムー系」のネタも好きだったりします。

「五六七の仕組 日月神示が予言する日本と世界の未来」中矢伸一

日月神示(ひつきしんじ)は、神典研究家で画家でもあった岡本天明が神霊か
らの神示を記述したとされる書物です。雑誌「ムー」で名前とは見たことがあ
ったんですが、関連本を初めて読みました。著者の中矢伸一氏は、1961年生ま
れと同世代で世界情勢の認識が僕自身と近いと感じました。内容としては、日
月神示に書かれた内容と現在の世界情勢との対比などが書かれていました。可
能性として書かれていたのは、「人口が1/3にもなる人口調整が起こる」「ア
メリカは衰退、中国は崩壊、日本はもう一度崩れる」「2025年が正念場」など
ですが、昨年から売れている「私が見た未来」の2025年7月5日午前の災害と一
致しているのかも?という話は、注意が必要かも?その内容も日本とフィリピ
ンの中間に大陸が出現して日本とつながるそうです。その際巨大津波が太平洋
沿岸に大きな被害を与えるとの事でした。世界的な食料不足も起こるので食料
を備蓄することを薦めています。備えあれば憂い無しですが、人口の1/3が亡
くなるというとかなりの災害が世界的に発生するとしたら戦争か厄病、あるい
は食料不足による飢餓でしょうか?日本も「潰れる」くらいの痛手を受けるそ
うなので覚悟が必要ですね。


ちょっと読んだタイミングがタイムリー過ぎでした。

「裏切りと陰謀の中国共産党建党100年秘史
習近平の父、習仲勲を破滅させたケ小平への復讐 」遠藤 誉 (著)

10月22日中国の胡錦濤(Hu Jintao)前国家主席(79)が北京の人民大会堂で
行われていた共産党大会の閉幕式を突然退席させられた。ニュースが報道され
ていましたが、この本を読んでいたので、なるほど中国の権力闘争だなぁとい
う印象でした。正直言ってあまり興味ない世界の話ですが、習近平の父親と毛
沢東の関係、ケ小平への恨みなど、権力闘争の末に権力を握っているという現
実が理解できます。勿論現在進行形です。嫌な話ばかりで記憶に残りませんで
した。(爆)ただ、権力の範囲は全世界へ向かっているそうなので日本は要注
意です。興味深いのは毛沢東の頃から共産党が窮地に陥ると日本が助けている
んですよね。どういう構造なのか?資料があったら読んでみたいです。


友人の息子さんが、絶賛していていたそうで、気になってました。

「合成生物学の衝撃」須田 桃子 (著)

著者は「捏造の科学者」の須田 桃子氏。DNAを合成し、その細胞を生成すると
いう科学・技術の話です。 掛谷英紀先生の「 学者 の 暴走」などでも懸念が
指摘されていた、倫理的や宗教的な問題を孕んでいることが、やはり記載され
ていました。「遺伝子ドライブ」と言われる技術は生態系への影響が計り知れ
ないため、流石に自己規制されているようですが、中国あたりの倫理に欠けて
いる国がやってしまうんじゃないかと心配です。本の冒頭「合成生物工学」的
なアプローチが紹介されてましたが、DNAの機能が明確でないのにちょっと無
理筋な話だなと思っていたら後半は違う話になりました。(爆)色々とアメリ
カの研究の環境が紹介されてて興味深かったです。インターネットの元になっ
たダーパネットを開発したDARPA(研究をマネージするスタッフしかいない!)
は、軍事開発予算を使えるということで、優秀な研究者が集まっているとか、
DNAを合成したミニマルセルは成功したとかネットのニュースレベルの情報し
か知らなかったので勉強になりました。


昔、よく海外出張していた頃お世話になってました。

地球の歩き方「今こそ学びたい日本のこと」

地球の歩き方シリーズは、結構好きな本で海外渡航時には参考にしていました。
最近、東京とか日本とか出版されて話題になっていたので、面白そうだったら
買って読もうと本屋さんへ行ったんですが、ご近所の本屋さんには置いて無か
ったので、松本の本屋さんでチェックしました。東京とかそこそこ土地勘ある
んですが、いまいち面白そうな記事が見当たりませんでした。日本の方も範囲
が広いのか?それぞれの地域のガイドブックを読んだ方が良さそうでした。
で、その横に「今こそ学びたい日本のこと」という「旅の読み物」が置いてあ
り、中身を読んでちょっと感動しました。僕が高校の頃経験した事と同じよう
な経験を著者の方が経験していたそうです。海外で「日本の事を話してくれ」
って言われてあまりに話せる事が少なく「自分は日本人としてどうなのか?」
と深く考え込んだ経験です。(笑)
世界的に見たら日本という国は、かなり異色の国だと思いますが、住んでいる
人たちは、その違いが分かりませんし、有難みも実感できないと思います。僕
自身14か国くらい出張や旅行で海外へ渡航しましたが、どこへ行っても日本
が一番いいなぁと思っています。日本で「反日行為」やっている人たちは、好
きな国へ出て行って欲しいと思います。ぼろくそ反政府を叫んでいる人で海外
へ亡命した人ってこの30年聞いたことがありません。まだ、本もちょっとし
か読んでいませんが、「自分が何者なのか」基本的なデータとして読む価値が
あるような気がします。


図書館で借りるのに半年かかりました。(笑)

「六人の嘘つきな大学生」浅倉秋成

約1年前にこの本の評判が良いという理由で「ノワール・レヴナント」を読ん
でから、ずっとこの本を読もうと思っていたんですが、今週やっと読みました。
(爆)ノワール・レヴナントが750ページという長さだったので、読むのに気
合が必要と思っていたんですが、約300ページのさくっと読める本でした。内
容は大変構成が良くできてて感心しました。評判が良いのも分かります。僕自
身はバブルの頃に就活だったので、ほとんど苦労も無く最初に受けた会社に
内定を頂いて、卒論に全力投球な生活でした。この本で描かれる就活は、100
社くらいに面接に落とされるのがザラな頃の話で興味深かったです。ちょっ
とミスリードがくどかったんですが、内容が爽やかだったので読後の印象は
良かったです。

2022年11月1日

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