目に見えぬ侵略


中国のオーストラリア支配計画 / クライブ・ハミルトン

今週末やっと読みました。図書館とかで借りた本は期限があるので早めに読みま
すが、自分で買った本は比較的後回しになる傾向がありますが、もっと早く読め
ばよかったです。"China 2049"に並ぶ日本人として読んでおくべき本でした。
二段組で約400ページと内容も充実しておりオーストラリアがどのように中国共
産党にやられていったのかが分かります。同様に日本もやられていることを考え
ると「やりくち」を学ぶことは大切だと思います。これまで疑問に思っていたこ
との幾つかの謎がこの本で理解できました。以前仕事で一緒になったアメリカで
PhDを取得した中国系アメリカ人の考え方が「中国共産党の主張と同じだった」
のが「謎」だったんですが、グリーンカードを取得してもなお「中国共産党」の
支配下にあるんですね。恐るべしです。久しぶりにマーカーペンでライン引きま
くりでした。やはりスパイ法や防衛に関する法律の整備が至急必要です。

中国人は、歪曲された歴史教育で洗脳されています。アヘン戦争に端を発する
1800年代半ばから1900年代半ばまでの「恥辱の1世紀」から「国家の偉大なる復
興」(中国の夢)を目指す事を子供の頃から叩き込みます。結果「中国=中国
共産党」という認識になります。恐ろしい事に凄い数の中国人が海外へ移民して
いますが、「中国への忠誠」が要求されます。これに従えば、大きなメリットが
ありますし、従わないと中国国内にいる家族や親戚に報復が及ぶという事実があ
るようです。共産党の要求があれば、国家機密や産業機密を流出させなければい
けません。ファーウェイが危険なのはそういう背景があるからなんです。長野で
の中国人の動員もその流れで「普通」に行われます。「洗脳」ベースなので、海
外で共産党に批判的なものがあった場合、全力で(別に指示がなくとも)戦います。

アマゾンのレビューを元に内容を追加すると・・・

「驚愕の一語に尽きるのは、ここまでオーストリアという国が中国に浸透されて
いたのか?ということ。特に驚いたのが中国共産党の「代理人」による政治資金
を通じてのオーストリアの政治の操作です。オーストリアの政治資金規正法が詳
しく説明されていないのですが、中国系企業や帰化もしくはresident permitを
持った中国系の移民が政党(与野党双方)への多額の政治献金を通じてオースト
ラリアの対外政策を中国共産党(CCP)の方針に沿った方向へと誘導しようと
する実態が詳しく語られていきます。政治家や政党の指導層は中国への接待旅行
や様々な利益供与の仕組みを通じてCCPにもはや首根っこを押さえられている
のです。ふつうは外国人による政治資金は禁止されているのですが、もはやオー
ストラリア人となってしまった「中国系」の企業や個人からの献金は止めようも
ないのです。
ことは政界だけではありません。中国からの留学生に依存するようになった大学
にもacademic freedomなるものはもはや存在しないようです。majorityではない
にせよ、無視しがたいminorityとなった中国からの留学生はもはややりたい放題
でmulti-culturalismの旗の下で大学運営やカリキュラムの内容に干渉してくるの
です。公海の自由にかかわる問題、東シナ海の島をめぐる国境問題、チベット問
題、中国の人権問題等の問題に関して学生は中国共産党の公式見解を前面に押し
出し、もはや開かれた自由な議論は封じ込められていきます。この背後には、い
うまでもなくCCPや在外公館による中国人留学生の組織化そして孔子協会が存在
しています。
学生だけではありません。教える側もここ30年の大量の留学生導入の結果、中
国系の人物が教授陣に多数存在しており、これらのかなりの部分がCCPや人民解
放軍(PLA)がらみの中国軍需企業と密接な関係を結んでいるというのです。オー
ストラリアでの最先端の科学技術の開発には大学やシンクタンクが関わっており、
そこではこれらの人物が中心人物としてオーストラリア政府からの補助金を直接
受け取ったり、また開発プロジェクト自体をPLAがらみの中国企業と合弁という
形を取ることにより、そこでの開発成果はすべてPLAに流出するというわけです。
つまるところCCPは西側の様々な制度や仕組みを徹底的に悪用しているのです。
本書に登場する様々な略語はCCPがオーストラリア浸透のために作り出した様々
な中間団体です。あくまでも私的団体との装いを取りながらもこれらの団体を通
じてオーストラリアに資金を供給し人材を配置することによりオーストラリアを
もはやCCPの意に反した行動がとれない社会へと変貌させているのです。
この種の浸透工作は旧ソ連も活発に展開していたものですが、ここで特異なのは
移民による社会のcommanding heightの占拠と巨額の金なのです。これは決して
対岸の火事ではありません。おそらく日本も同じ状況に追い込まれているはずで
す。西側の社会・文化インフラを利用して西側を操作する。これこそ孫子の教え
です。」

2020年7月1日

平川丈二は最近こんなことを考えている!
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