弱肉強食の世界

門田隆将さんの「疫病2020」でも記載されていましたが、中国人の考え(中国共産党の
教育の成果ともいえます)は、大雑把に書いてありますが、この記事の通りだと思います。
日本人は、効力があまりに非力な「国際法」を遵守するという世界的にはあまりにナイ
ーブな考えを持っていますが、実際には弱肉強食の世界です。力が弱い国は簡単に
大国に踏みにじられます。歴史を直視すべきです。中国共産党がアジアの覇権国を目
指すことを隠さなくなった今、日本は富国強兵を目指す以外には道はないと思います。
一部の人達のように中国の属国になるべきと考えている人達は、未来のビジョンが間
違っていると思います。明日の香港、チベット、ウイグルはこの人達が目指す日本の姿
です。

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なぜ中国は国際社会と激しく衝突し始めたのか
https://news.yahoo.co.jp/articles/fc1e73f8b93891b61c75edf4a8829d8df4b05314
JBpress (川島 博之:ベトナム・ビングループ、Martial Research & Management 主席経済顧問)

 新型コロナウイルスに対する初期の対応を巡って、中国は米国を中心とした国際社会
と対立を深めている。さらに香港の統制を強化する「香港国家安全維持法」を成立させ
たことによって、米国だけでなく旧宗主国の英国とも対立することになった。
 インドとは国境を巡って死者を出すまでの事態を引き起こしている。それによって、そ
れまでもよくなかった両国の関係は一層悪化してしまった。南シナ海では空母を含む艦
隊に演習を行わせて、ベトナムなど周辺諸国の神経を逆撫でしている。
 米国と日本を同時に敵にしたくないとの戦略的思惑から、日本に対しては見え透いた
融和的なアプローチを行っているが、その一方で尖閣諸島周辺に頻繁に公船を送り込
んでいる。仲良くしたいのか喧嘩したいのかよく分からない。
 中国は少し前まで一帯一路構想やAIIBなどといった経済的な手法によって国際社会
への影響力を強めようとしていた。しかし、ここに来てそのような動きはほとんど見られ
なくなってしまった。今は、より直接的な手法で自国の意思を国際社会に押し付けようと
している。まるで世界を敵に回してもよいと思っているようだ。

 なぜ、こんなことになってしまったのだろうか。ここでは現代中国を流れる大きな流れに
ついて考えてみたい。

■ 豊かになって芽生えた素朴な感情
 中国が国際社会と対立し始めた真の原因は、豊かになったことにある。香港が中国に
返還された1997年の時点において中国のGDPは米国の11%、英国の62%に過ぎな
かった。それが2019年には米国の67%、英国に対してはそのGDPの5倍にもなった。
ちなみに日本の2.8倍である。中国人は自信を深めた。そんな中国では、現在、多くの
人が国際社会のルールに違和感を抱いている。
 香港の問題を考えてみよう。そもそも香港はアヘン戦争、アロー戦争の結果、無理やり
に割譲させられたものである。1949年に新生中国ができた際に武力で解放してもよかっ
たのだ。しかし、当時の中国の国力では実行できなかった。
 その後、香港が西側との窓口として便利であることが分かったために利用してきたが、
深センのGDPが香港を上回るようになると、香港は重要な地域ではなくなった。香港が
西側との窓口ではなくなっても、それほどの実害を被ることはない。
 一国二制度を採用したのは、英国と交渉していた1990年代に中国が英国より弱かっ
たからだ。弱者が強者から領土を返還してもらうためには譲歩が必要だった。だが、も
し今交渉するなら文句なく全面返還してもらうことになるだろう。
 このような感情は習近平や共産党幹部だけが持つものではない。一般民衆もアヘン
戦争以来の欧米の侵略に怒りの感情を有している。江沢民政権が行った反日教育の
結果として日本の侵略ばかりが取り上げられているが、中国人は心の底で西欧を恨ん
でいる。
 中国には西欧に勝るとも劣らない歴史と文化がある。その結果、経済的に成功した現
在、なにも米国を中心とした国際社会のルールに従う必要はないと思い始めた。
 中国には中国のルールがある。中国は長い間、皇帝と科挙によって選ばれた優秀な官
僚が国を統治してきた。民主主義は英国を中心とした西欧が考え出したものであり、杓
子定規に香港にそれを適応すべきではない。また、「由(よ)らしむべし知らしむべから
ず」(為政者は定めた方針によって人民を従わせることはできるが、その道理を理解させ
るのは難しい)は中国政治の伝統である。コロナ騒動に対する中国政府の対応も、この
原理から考えれば、決しておかしなものではなかった。
 香港やコロナ騒動を巡って中国が強硬な手段に出る背景には、政府だけではなく多く
の中国人が、このように思っていることがある。
 昨今の中国と国際社会との軋轢は習近平の個性が生み出したものではない。それは、
中国の一般民衆の素朴な感情の延長上にある。

■ 孤立をいとわない道を選び始めた中国
 このように考えると中国のこれからが見えてくる。今後、中国はますます国際社会と衝
突する。それが熱い戦争に発展するとは思わないが、貿易戦争のような形で、多くの国
と争うことになろう。現にオーストラリアとも貿易戦争を開始した。
 中国は人口が多いために、ある程度発展すれば自国の市場だけで経済を回して行く
ことができる。中国にだけに通用するアプリを作っても採算に合う。グーグルを使わなく
ともよい。
 18世紀後半に中国との交易を求めてやってきた英国の使者マッカートニーに対して、
清の乾隆帝は「中国は地大物博(土地が広く物資が豊か)だから、他国と交易する必要
はない」と言い切った。これが中国人の基本的な考え方である。
 改革開放路線に転じた1978年以降、中国は安い労働力を使って工業製品をつくり、
それを輸出することによって富を蓄積した。その結果、豊かになったので、乾隆帝の時代
に戻ることが可能になった。戻れるなら戻りたい。多くの人がそう考えていることが、今の
中国の行動の背景にある。
 中国は孤立をいとわない道を選び始めた。その方針は今後も変わることはない。中国
が再び国際社会とうまくやっていきたいと思うようになるのは、孤立によって経済や科学
技術の面で大きく遅れてしまったと感じる時である。その時には中国国内で大きな混乱
が起こることになるが、それはまだだいぶ先の話になろう。
 過去30年ほど急成長していたために、中国を魅力ある市場とみる日本企業は多い。
しかし、それは過去のことになった。これから中国は自国のルールに従わない国や企業
とは取引しないと言い出すはずだ。面倒くさい市場に変わった。中国は豊かになる方便
として「政経分離」を言っていたのだが、豊かになった中国はプライドが高いために、他
国に「政経一体」を求めてくる。中国と取引したい企業は、その辺りのことについて覚悟
しておく必要があろう。

川島 博之

2020年8月1日

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