もっこすの城 / 伊東潤


もっこすの城 / 伊東潤

木村藤九郎秀範は肥後隈本(熊本)領主・加藤清正に仕える城取り。父から城造りの
秘伝書を受け継いでおり、その知識によって隈本入り早々に城下の治水や要害造り
の責任者に抜擢される。これらを成功させた藤九郎に命じられたのは、「天下一の城」
を築くこと。その後、肥前名護屋城の割普請、倭城の建築などを経て、城取りとして成
長した藤九郎は、慶長4年(1599)春、ついに最強の堅城・熊本城の築城に挑む。
(「もっこすの城」紹介文より)

主人公自体は、実在の人物ではありません、そもそも最高の軍事機密である城郭の築
城情報は、ほとんど残っていません。この作品は、歴史的な事実をベースに父親を織田
家の普請奉行を務め安土城で討ち死にした木村次郎左衛門忠範(高重)として描いて
おり、若き加藤清正に仕官し、幾つもの苦難を乗り越え城取りとして成長する男を描い
た物語です。

何といっても故郷熊本を舞台にした話です。土地勘もあるため、新町の大火や紺屋町
などの地理的な配置、(ブラタモリでも紹介されていた)白川の付け替えや坪井川の利
用なども描かれていました。藤崎八幡宮を起点に街道を整備したのもこの本で知りま
した。あと加藤清正を魅力的に描いているのもこの作品の良いところだと思います。
胸熱でした。

著者のインタビューを読むと熊本地震の復興を応援したいという気持ちもあったそう
です。「どんな苦難や困難があっても、諦めなければ、きっと乗り越えられる」というエ
ールであると受け取りました。「えい、えい、えい、おー」を胸に明日も頑張ります。

ツイッターにこの本の事を書いたら、著者の伊東潤さんより、直接返信を頂きました。
いい世の中です。

全く著者の伊東潤さんの事を存じ上げていなかったので、歴史小説を沢山出版され
ていて驚きました。でも、しょっぱなの返事が「ちなみにジェフ・ベックのライヴはトータ
ルで5回行きました(笑)。」ですもんね。学年も一緒で多分同じような音楽を聴いてい
たようです。伊藤政則さんとプログレについて対談するのに頭脳警察のTシャツを着
ていく人でした。(笑)


「歴史作家の城歩き 2 」 / 伊東潤

熊本城を取り上げている「歴史作家の城歩き 2 」も買ってみました。石光真清の熊本
城炎上のくだりが書かれていましたが、長六橋の近くなのに「丘の上から眺め・・」とい
う描写はちょっと頂けません。迎町から長六橋の近くには、丘って無いと思います。


「石垣の名城 完全ガイド」 千田 嘉博

「石垣の名城 完全ガイド 千田 嘉博」
伊東潤さんが、お薦めしていたので読んでみました。石垣を中心に城郭を紹介した
本です。熊本城が被災した後の本で、なんだか残念な気持ちになりました。正直言っ
てあまり興味ない分野で斜め読みになってしまいましたが、次回何処かのお城を観
に行ったときに視点が変わると思います。あと、表紙の写真が、子供の頃熊本城へ
写生しにいった時に描いた構図と同じでした。やはりこの石垣と天守閣の構図が好き
です。

2020年11月1日

平川丈二は最近こんなことを考えている!
Back to 平川丈二Home