独り時事放談 その17

歴史教科書の歴史

歴史教科書の歴史/小山 常実 著

 近所の図書館で表題の本を見つけて読んでみました。戦後の中学校(義務教育)の歴
史の教科書の近代史の内容を分析した本です。ちゃんと調べた教科書のリストなども掲載
しておりしっかりした印象の本でした。著者は「日本国憲法は無効である」という主張
をしている方で、以前なるほどなぁと思った記憶があります。

 この本によると、内容が戦後からこれまでに驚くほど内容が変わってきており、かつ
歴史研究の成果を無視した、近隣諸国に阿るような歪曲された内容になっているようです。
特に「新しい歴史教科書」に於いても朝鮮併合などの内容が外圧により改変されたそう
です。読売新聞に掲載された神戸大の木村教授(韓国との歴史共同研究に参加)の記事
によると「韓国では歴史的事実よりも、歴史に関わる「物語」に重きが置かれている。
そこでは、「民族」の価値が強調され、近代史でも、如何に韓国人が日本に抵抗したか
が、重視される。」だそうであり、韓国(民族)に都合の良い「物語」が優先され、都
合の悪いものは否定される現実があります。そのため朝鮮併合が、日本の一方的な「陰
謀」である必要があり受け入れがたい史実は排除される結果になっています。
 まぁ、お国の事情は理解できますが、人様の国の教科書に文句を言うのは、いかがな
ものでしょうか?いえ、クレームをつけること自体は個人的には、恥ずかしいと思いま
すが、一般的には、それほど問題ありませんが、それを認めてしまい、教科書を書き換
えてしまう日本という国は、かなりまずいと思います。

 また、戦後の教科書で問題とされているものに「国防」の視点の欠如というものがあ
ります。GHQの方針も大きいですが、そのように戦後60年教育された結果が今日の日本
の姿だといえます。よく国防の参考書としてスイス政府の「民間防衛」が紹介されます
が、寧ろスイスという国がどうのようにして武装永世中立国の道を歩んできたのか?と
勉強することが日本の国民には、必要だと思います。ぼちぼちちゃんとしないとかなり
日本という国自体が侵略されてきている印象を受けます。「戦争を美化する」という言
葉と中身を一度それぞれ確認すべきですね。

 教員や教科書執筆者の共産主義への幻想も大きく、ソ連や北朝鮮、中国の現実を思い
知らされた反動で「反日」へ動いてしまったという分析も当たっていると思います。
「外国の悪いところを書かない」という意味不明の足枷も教科書を歪めている要因のひ
とつです。満州事変なども当時の中国の不法行為を記述しないと訳分からないと思いま
す。地政学的な説明と共に歴史を学ぶ上で必要不可欠だと思います。
 本当によっぽどハリウッドの娯楽映画「北京の55日」(義和団の乱)などの方が、
当時の歴史を知る参考になります。(大汗)

小山 常実
出版社/著者からの内容紹介
なぜ日本の歴史教科書は反日的になったのか? 敗戦直後の教科書から話題を呼んだ
「新しい歴史教科書」まで戦後の教科書の叙述をテーマ別に検証した画期的労作。

内容(「BOOK」データベースより)
ついには外交問題にまで発展した歴史教科書論争。しかし、そもそも日本の学校で
使用される歴史教科書の内容がどのように変化して現在にいたるのか、という点に
ついてはなぜか注目されてこなかった。本書では、敗戦直後の昭和二十年代の教科
書から、平成十二年度使用の教科書までの中学生用歴史教科書、および「新しい歴
史教科書」を丹念に検討し、教科書が日本の近代をどのように叙述してきたのか、
その変遷を追う。なぜ歴史研究の成果を無視してまでも、教科書は自国の歴史を否
定しようとするのか。あくまでニュートラルに教科書の叙述を辿りながら、日本人
の精神をむしばむ病根の正体を抉る画期的労作。

単行本: 293ページ
出版社: 草思社 (2001/11)
ISBN-10: 4794210973
ISBN-13: 978-4794210975
発売日: 2001/11

2009年2月1日

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